関東地方も梅雨入りし、じめじめとした日が続いていますが、毎日いかがお過ごしでしょうか?さて皆さん、6月は食育月間ということをご存知ですか?食育基本法は農林水産省によって平成17年6月に制定されました。最近では「食育」という言葉も聞きなれた方が多いと思いますが、そもそも、食育という言葉はいつできたのでしょうか。
―食育の始まり―
明治時代、当時医師であり、薬剤師であった石塚左玄が伝統的和食の指導で多くの病を治した実績から、「食は命なり」と提唱しました。そして石塚左玄と共に小説家の村井弦齋が「食育」という言葉を使い始めたとされ、「食養道」を提えた石塚左玄は、「体育も智育も才育も、すべて食育であると認識すべき」と記しています。
また、村井弦齋は新聞連載小説「食道楽」の中で、「 小児には、徳育よりも知育よりも、体育よりも、食育が先。体育、徳育の根源も食育にある」と記しています。
とても古くから日本人は食の大切さを理解していたのですね。しかし、戦後に欧米食が普及し、小麦や肉、乳製品を食べる機会が増え、日本の伝統の和食が家庭から少しずつ減っていきました。また、食事内容のみならず、個食や孤食といった家族や人との関わりが減り、私たちの食生活も少しずつ変化していきました。
―日本の伝統食や国菌―
例えば、味噌や醤油のように、日本人の伝統である「発酵食品」に関して言えば、熟成による本来の発酵処理ではなく、アルコールの添加により、時間をかけないで発酵させてある食品が多いのが現在の食の現実です。
味噌・醤油だけを捉えると、食品の一つですが、本来は日本の国菌である麹(糀)菌=アスペルギルス・アスペルギルスオリーゼに含まれる酵素が食物の栄養素と反応して、大豆を発酵させて作られるものです。実この麹も、湿度の高い日本の風土により、稲穂が腐敗して出来たものです。
食品のひとつをとっても、日本の歴史や風土を学ぶことになりますよね。
また、何よりもその食材を大切に感じ、感謝をして食べれるようになるのではないでしょうか。そして毎回の食事を大切な家族や大切な人と食べる、団らんの時間にすることは温かな心を育む上でもとても大切でしょう。
―栄養療法の現場からみた食育―
私自身、毎日患者さんのカウンセリングをする中で、幼少期の食生活や食への興味はとても重要だと感じます。
幼少期に家族や大切な人とご飯を食べることが習慣になっていたり、料理を一緒にした経験などがある患者様は、たとえ大人になり食生活が乱れたとしても、ご自身で食生活を改善することが出来る方が多いです。
当院の栄養・食事指導は和食が中心です。治療していく中で、たくさんの方が身体に優しい食事、本来の私たちの身体に合う食事に気づき、根本的な改善をされています。
食育月間ということで、毎日の食、和食について、今一度みなさんの考えるきっかけになれば嬉しいです^^