腸内環境を乱す要因として、グルテン、カゼインについて説明させて
頂きました。今回は腸内常在菌のイースト菌の一種、「カンジタ菌」についてお話しさせ
て頂きます。
イースト菌とは、カビやキノコと同じ真菌の仲間で「酵母」とも呼ばれます。発酵能力に
優れていますので、パンを膨らませたりお酒のアルコールを生成したり、また味噌や
しょうゆの香りや旨味をひきだしてくれるものとして、昔から人の暮らしの中で親し
まれてきました。
このイースト菌の一種にカンジダ菌というものがあります。正式には「カンジダ・
アルピカンス」という腸内常在菌で、分娩時や授乳時に赤ちゃんの体内に入り込み、その
後も常在菌として腸内に生き続けます。
通常、カンジダ菌は【酵母型】として体内に存在します。人の免疫細胞を刺激して細胞
性免疫を強める働きをしたり、善玉菌のビフィズス菌やアシドフィルス菌等の栄養源
にもなります。ところが、加齢や生活習慣などにより免疫が弱まると、カンジダ菌が
大量に繁殖し病原性を示す様になります。そうなると【菌糸型】に形態を変えて
異常繁殖を始め、粘膜の正常細胞を貫通し、糸状に延び組織の奥まで侵入します。
この侵入に私たちの身体が反応し、白血球を集めて何とか阻止しようと戦います。
この戦いが免疫反応を引き起こし、炎症を起こしたりアレルギーなどの不調を引き起
こしてしまうのです。
菌糸型となったカンジダ菌は、消化管全体に広がり、腸粘膜を貫き、腸に根をはって
しまいます。腸管粘膜が荒れてしまい、そこからアレルゲンとなる大きな分子のままの
たんぱく質が吸収されるため、食物アレルギーが起こりやすくなります。また、消化
関連の病状(リーキーガット症候群、過敏性腸症候群 便秘、下痢、腹部膨満、ガス等)
の原因にもなる事がわかっています。
イースト(カンジタ)菌が増殖する原因
① アルカリ性 腸内が弱酸性に保たれていると、カンジタ菌は酵母型と
して増殖しにくい状態で存在しますが、腸内がアルカリ性に傾いてしまうと
カンジタ菌は菌糸型に変性し、菌糸が腸粘膜を貫いて炎症をもたらしてしまいます。
② ストレス 過剰なストレス下では、交感神経が緊張状態になります。
すると、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌され、血糖値が上昇し、その結果、
カンジタ菌が増殖しやすい環境を作ってしまいます。
③ 自律神経 自律神経は腸と連動しているため、自律神経の過緊張が続く
と免疫力が低下し、カンジタ菌の増殖を促してしまい、さらに腸内環境の悪化を招いて
しまいます。
④ 薬剤の使用 抗生物質は様々な菌に対して効力を発揮するため、腸内の
善玉細菌にも作用してしまいます。そのため、カンジタ菌が短期間に一気に増殖し、腸管
組織を占領してしまいます。
また、ピルの中に含まれる女性ホルモンのエストロゲンは、膣内のグリコーゲン産生を
促し、カンジタ菌の餌となるグルコースへと変化してしまいます。
⑤ 砂糖 カンジタ菌の細胞活動には糖代謝が不可欠で、特に砂糖の様な単純糖質を
好んで増殖します。砂糖をあまりとらなくてもカンジタ症の症状がみられる人は、加工肉や
ファストフード、出来合いの総菜等の中の糖質の影響を受けていることも考えられます。
⑥ 食品 コーヒー等に含まれるカフェインは血糖値を上昇させ、小麦の蛋白の
グルテンや乳蛋白のカゼインは多量に摂取すると腸粘膜を荒らしてしまいます。
またアルコールの多量摂取も要注意です。
⑦ 歯科用金属 以前、歯科治療で詰め物としてよく使われていたアマル
ガムは、水銀を50%含んでおり、ちょっとした刺激で簡単に水銀が体内に入り込むといわ
れています。体内に無機水銀となって取り込まれ、腸内細菌によってメチル化され、有機
水銀となります。カンジタ菌は,この水銀のメチル基を使って増殖しながら無機水銀に
戻し、そのサイクルを繰り返してしまいます。また、銀やパラジウム等の金属アレルギー
は、イオンよりサイズの大きいナノ粒子が引き起こすという研究報告もあり、ナノ化する
際に口腔内の悪玉菌と結びつき、カンジタ菌の増殖を助長すると考えられています。
カンジタ菌が増殖しない様にするためには、まずはパンなど、イースト菌が含まれる食品
を出来るだけ控えることが賢明です。また、イースト菌の栄養源となるイーストフードや
臭素酸カリウムなどの食品添加物にも注意が必要です。
ナチュラルクリニック代々木では、身体がイースト菌にどれ位影響を受けているかを毛髪
検査によって確認しています。腸内環境が乱れる要因は複合的に起こっていることがほと
んどですので、イースト菌のみでなく、それに関連した項目をチェックすることで、原因を
出来る限り明確にすることが根本的な改善への足がかりに繋がります。
本格的に腸活を目指す方は、ぜひ一度、毛髪検査をお受けいただくことをお勧めします。