クリニックニュース

2018.03.26更新

 脳はブドウ糖をエネルギー源にして活動しています。思考や感情のコントロール、理性、知性などの他、感覚(五感)や筋肉運動、呼吸、心拍などの自律神経の機能も携わっています。脳は十分な血液と酸素がなければ活動できませんが、血液が脳に十分に流れていてもその血液に溶けているブドウ糖(血糖)が不足すれば脳は正常に機能することが困難になります。脳にブドウ糖を安定的に供給することは、非常に大切で、人体を流れる血液中のブトウ糖の量はインスリンという膵臓から分泌されるホルモンによって常に一定の範囲内に保たれています。血糖値とは血液100ミリリットル中に溶けているブドウ糖をミリグラム数で表したものですが、健常人では空腹時でも70㎎より低下することはほとんどありませんが、低血糖状態の場合には50㎎以下にまで低下しています。低血糖という現象は、糖尿病で血糖値を下げる薬を飲んだり、インスリンを注射している人が誤って大量に注射したときに発症することがありますが、食べ物による影響で血糖値が乱高下し、身体に様々な不調が現れる低血糖状態の人が増えています。

 

低血糖食品
 甘い飲み物やお菓子、精製された白米、小麦粉(パン・麺類)などは血糖値が急激に上昇するため、それに対応しようとして膵臓から大量のインシュリンが分泌されますが、それが過剰となり血糖値が下がりすぎた結果、低血糖状態となるのです。その後、下がりすぎた血糖を引き上げるために、体内では多数のホルモンが分泌されます。その中で最初に分泌されるのが交感神経を興奮させる物質であるアドレナリン、ノルアドレナリンなどで、過剰に分泌されることにより動悸・手指の震え・頭痛・ふらつき・起床時の疲れ・日中特に昼食後の眠たさ・集中力の欠如・異常な疲労感、落ち込み(うつ症状)、イライラ、突然の怒り(キレル)、めまい、ふらつく、砂糖への渇望、動悸、発汗・恐れなどの精神的・身体的症状を引き起こします。症状を医師に相談するとうつ病やその他の病気と誤診され薬が処方されることがあります。もし自分が「低血糖症かな?」と感じて医療機関を受診するならば、栄養学に詳しい医療機関がお勧めです。

 


 

低GI食品 

また低血糖症状を和らげるために次のことも重要です。①セロトニン分泌‥トリプトファン(かつお・しいたけ・こんぶ・いりこ・ナッツ・バナナなど)、ビタミンB6、マグネシウムから作られ朝日を浴びることによっても分泌が促進されます。②レシチンの摂取‥アドレナリンによって興奮した交感神経を抑制するのが副交感神経の役割ですが、副交感神経の神経伝達物質は主にレシチン(大豆・卵黄)から作られるアセチルコリンです。
食事に関しての注意点は

・ブドウ糖の吸収を緩やかにする食物繊維(きのこ類・海藻・野菜)、消化に時間のかかる蛋白質をご飯やパン等の炭水化物の前に摂ると良いでしょう。

・スローフードと言われている血糖値の上昇がゆるやかな野菜、キノコ、海藻、大豆、肉、魚介類、玄米ご飯などの低GI食品がおすすめです。

・食間を長くしないようにしましょう。間食に豆乳、ナッツ類、小魚などのタンパク質の多い食品がお奨めです。

・良く噛んで食べることは、消化液の分泌を促しブドウ糖の急激な吸収を抑えます。
天然の調味料(粗製糖、粗製塩、昆布、煮干など)を用い、人工甘味料、香料、色素、化学調味料などは避けます。

 

低血糖症が疑われる場合には、まずは食事を見直し、不足している栄養素を補完するためにサプリメントを利用したり、運動や休養を取り入れるなど自分の生活習慣を見直して血糖コントロールを行っていきましょう。

 

ナチュラルクリニック代々木

 

2018.03.19更新

 

前回は細胞膜の表面の産毛の様な「糖鎖」についてお話しました。

さて、今回は、その糖鎖が生えている細胞膜の主要成分、

「レシチン」についてお話ししようと思います。

レシチンもまた、妊娠力や赤ちゃんの成長過程において

必要不可欠な栄養素ですが、さて、そのレシチンって何でしょう?

 

 2

 

 

レシチンとは

 

レシチンとは、私たちの身体を構成している60兆個すべての

細胞膜の主要成分で、細胞膜の約半分がレシチンと言われています。

私たちの身体にとって「糖質」「脂質」「蛋白質」は主要な栄養素

ですが、レシチンはその中の脂質に該当するもので、リン脂質という

身体に必要な善玉脂質です。

化学名は「ホスファチジルコリン」と言い、脳細胞の30%、血管壁の

90%がレシチンで構成されています。身体に必要な栄養素や酸素を

細胞内に吸収し、そして不要になった代謝産物や老廃物を細胞の外へ

排出します。また、血管の内壁にこびりついたコレステロールを

溶けやすくしたり、細胞の中の老廃物を血管の中に排出して血行を促進します。

 

 saibou

 

そのため、レシチンが不足すると、細胞が栄養を十分に吸収出来ず、

本来の機能が働かなくなったり、老廃物が細胞の外へ出せない事で

体内に溜まり、様々な不定愁訴の原因になってしまうのです。

 

 

レシチンは妊娠力を高める!

 

レシチンは、妊娠に必要な女性ホルモンの代謝機能を高める働きにも関与します。

卵細胞や精子にも多く含まれ、また、他の細胞すべての膜や核に

レシチンは存在しているので、言い換えれば、レシチンが不足していると、

遺伝子異常や、不健全な卵子や精子が作られるリスクが高まってしまうのです。

 

また、レシチンは神経伝達物質のアセチルコリンの主要成分でもあり、

神経細胞にも多く含まれていています。脳関門を通過する事が出来るので、

約15分程度でα波が発生する、という研究データもあります。

自律神経やホルモン系にも働きかけるので、不妊治療などで心身に

大きな負担がかかりやすい時期にストレスを軽減してくれたり、

身体のバランスを整えてくれます。

 神経

 

 

妊娠してからもレシチンは大切!

 

妊娠してからもレシチンは必要不可欠です。

胎児の新陳代謝は激しく、ものすごいスピードで細胞分裂を

繰り返し、新しい細胞がどんどん作られますが、その細胞の

すべての膜にレシチンが存在するのです。

へその緒の90%はレシチンなので、不足すると早産や

未熟児出産のリスクに繋がってしまいます。

また、羊水や胎盤にも含まれ、胎児の呼吸や栄養の吸収にも

関わっているので、不足すると発育異常が起こってしまいます。

 卵細胞分裂

胎盤には本来有害物質をブロックする胎盤関門というものが

ありますが、有害物質の中にはその関門を通過してしまう

ものもあります。環境汚染物質の中には脂肪にとけやすい

脂溶性のものと水に溶けやすい水溶性のものがあります。

レシチンは、エマルジョン(界面活性剤)としての働きがあり、

親油性と親水性、両方の役割を担っています。

ですから、胎盤関門を通過してしまう有害物質をブロック

したり、コレステロールと一緒に体外に排泄してくれるのです。

 

 

レシチンをしっかり摂りましょう!

 

レシチンを含む食品としては小魚、レバー、うなぎ等が

ありますが、多く含む食品の代表は卵黄と大豆です。

日頃からしっかりと食事の中に取り入れていかれる事は

身体の基礎を整えていくためにとても大切です。

特に妊娠を望む方や不妊治療中の方は意識して

摂られる事をお勧めします。

 目玉焼き

 

ご自身の身体の中で、今現在、レシチンの不足があるか

気になる方は、一度、当院の毛髪検査を受けられる事を

お勧めします。レシチンの不足の確認だけではなく、

葉酸や糖鎖、ビタミン、ホルモンバランス等、妊娠に必要な

栄養素や体調の傾向性を把握する事が出来ます。

不足が大きい栄養素がご自身で認識できると、お食事や

栄養の補完の指標が立てやすくなりますよね。

 

 不妊

 

 

また、不足が大きい方は、お食事だけでは必要な量を補完する

事は難しいので、サプリメントで摂られる事をお勧めします。

当院で扱っているKーリゾレシチンは、低分子化され、また、レシチンと

他の栄養素の組み合わせにより、栄養の吸収、生理活性に非常に優れて

います。もちろん、脂溶性、水溶性両方の働きを持っていますので、

体内からのデトックスにも有効です、

 

詳細につきましては、お気軽にクリニックへお問い合わせ下さい。

 

ナチュラルクリニック代々木

 

 nanohana

 

 

2018.03.12更新

糖鎖ってなあに?


 

妊娠を希望する人にとって、葉酸,マカ、亜鉛などのサプリメントがおすすめな事は

よく知られていますが、糖鎖も、無視することが出来ない重要な役割を担っています。

さて、その糖鎖って何でしょう? 

 

糖鎖(とうさ)とは、8種類の単糖が鎖状に連なったもので、人間を構成している60兆個の

細胞の膜組織の表面に産毛の様な状態でくっついています。

 

・グルコース

・ガラクトース

・マンノース

・キシロース

・フコース

・N-アセチルグルコサミン

・N-アセチルガラクトサミン

・N-アセチルノイラミン酸

 

糖鎖8種類

 

 

以上の8種類の単糖が複雑な組み合わせで鎖状に連なって存在しています。

自然界には200種類の糖がありますが、ヒトの細胞の構成成分として明らかに

なっているのは、この8種類の単糖だけなのです。

これらは、単体では働かないため、1つの成分がタンパク質につかなくなった

だけでも生物は生きる事が出来ません。人間の身体は60兆個の細胞で出来ており、

その細胞同士が情報を伝達・交換したり、キャッチした情報をもとに、免疫力や

自然治癒力などの必要な機能に働きかけたりします。

60兆個の細胞膜の表面に糖鎖がびっしりと生えていますから、ほんのわずかな違いで

大きな変化をもたらしたり、鎖がキャッチした情報がうまく伝わらない事で

病気などの異常反応を起こすのです。

例えば、赤血球の糖鎖の構成がほんの僅か異なる事で血液型が決まる事がわかっています。

また、DNAやRNAの構成要素であり、エネルギー源でもある事がわかっています。

 

糖鎖の図

 

・情報伝達では、遺伝子、ホルモン、酵素、神経伝達物質 など、細胞間において情報伝達を行う

・細胞の結合、成長、活性化、分裂などにかかわり、老化を左右する

・糖鎖は活性酸素やストレスなどの外的要因の被害を最初に受ける。また、グルタチオンなどの

 抗酸化物質の生産を増加・促進したり、減少を抑制して自力で活性酸素対策を行う。

・免疫系では異物(癌細胞・ウイルス・細菌など)を識別し、免疫システムを発動する

・ホルモンのブドウ糖とインシュリンをくっつけるレセプターの働き

・栄養面では、体内に入る食べ物を認識し、必要なものは行き先を明確にして蓄え、

 不必要なものは体外に排除する

 

現代人は糖鎖が不足している!

 

通常1個の細胞の表面にはン約7~10万本の糖鎖があると言われていますが、

現代人は環境の変化や化学物質の過剰摂取、喫煙や薬、電磁波などの外的要因、

更には様々な心身のストレスによって糖鎖の数が40%以上も減少しており、

平均約4万本しかないと言われています。

本来、健康を維持するためには、外部からのストレスから身を護るための自己

制御機能(自律神経系・内分泌系免疫系)や、異物や他と自己を認識する能力、

傷を治す自己再生・修復機能があり、これら全てに糖鎖が関わっていますが、

その働きを担う糖鎖が減ってしまっているのです。

つまり、糖鎖が不足しているという事は、身体が正常な機能を失いかけている

という事になります。

妊娠力を上げるために栄養面に気をつけて食事を摂っていても、細胞レベルで

栄養の吸収が低くなっていたり、栄養素が十分に活用されない事になってしまうのです。

 

かごもり

 

食事では摂れないの?

 

細胞と結びついている糖鎖は、生体内ではタンパク質と結びついて存在しているため、「糖タンパク」

とも呼ばれています。糖鎖は8種類の単糖が組み合わさって成り立っていますが、そのうちの

グルコース(ブドウ糖)ガラクトース(乳糖)は、通常の食事からの摂取が可能です。

グルコースは、殆どの植物やキノコ類、ガラクトースは乳製品や甜菜に多く含まれています。

 

残りの6種類の単糖は,グルコースやガラクトースを基にして、ビタミン・ミネラル・酵素を使い、

かなり複雑な15の工程と時間をかけ肝臓で作られます。しかし、現代人は、前述の通り、環境汚染や

ストレスで肝機能が低下し、糖鎖を作る力が低下しています。

フコース・キシロース・マンノースは食事から少し摂る事が出来ますが、N-アセチルノイラミン酸・

N-アセチルグルコサミン・N-アセチルガラクトサミンは食事からほとんど摂る事が出来ません。

 

食事で糖鎖を補うためには、ビタミンB群、レバー、蛋白質、ミネラルなどをしっかり補って

運動を行い、飲酒の節制やストレスを軽減させていかなければなりません。その上、現代の食事は

食材の栄養価が乏しいため、栄養面に気をつけて摂っていても、自力で糖鎖を作る事は非常に難しいのです。

 

 バイキング とりすぎ

 

不妊の原因の30~40%は糖鎖異常とも・・・

 

不妊の原因は様々で、未だ解明されていない事も多いのですが、糖鎖が正常に

働いていないと妊娠の確率が低くなる事は紛れもない事実です。 

不妊の30~40%は糖鎖の異常が原因とも言われています。

精子と卵子が出合い受精する際に、精子が卵子の表面に突き出た糖鎖を

認識し、結合しない限り、受精しない事がすでに証明されています。

また、着床時に子宮壁の粘着性が変わったり、子宮上皮の糖鎖組成の変化や大きさ、

荷電の変化、内膣液に分泌される糖たんぱく質のパターンの変化など、糖鎖が

多様な場面で影響している事が判っています。

 

女性だけの問題ではなく、不妊の4~5割は男性の問題という事は周知の事実ですが、

糖鎖の不足により精子が奇形になる確率が高まったり、卵子の糖鎖が精子を異物として

認識して受精を拒否したり、卵子との情報伝達が上手くいかず受精出来ない、などという

状況を引き起こす可能性もあります。

 

受精だけではありません。受精卵が細胞分裂し、お腹の中で胎児へと成長していく過程

においても、糖鎖は深く関わっています。さらに、糖鎖は、母乳の成分にも豊富に含まれ、

赤ちゃんは、母乳から必要な免疫力や脳機能に必要な栄養素を育んでいますが、近年は

糖鎖の不足が乳児の先天性異常や免疫不良、発達障害の一因に繋がっていると言われています。

 

糖鎖が行っている情報伝達は、通信回路の様な働きを担っていますが、現代人は様々な

ストレッサーの影響を受けていますから、卵子や精子の糖鎖に大きな負担をかけてしまって

いると言えます。

さらに、不妊治療を実践されていく中では、ホルモン剤や内服薬を使用せざるを得ず、また

長期にわたる不妊治療の中で心身にかかるストレスも決して少なくはありません。

 

不妊 赤ちゃん

 

糖鎖の研究と解明は、様々な研究機関で現在も続いていますが、すべての細胞間の情報伝達に

関わる糖鎖は、妊娠から出産後の母子の健康を守っていく上で、決して欠かす事が出来ない

重要な栄養素です。

とは言え、食生活の中で糖鎖を意識して十分な量を補給する事はかなり難しいと言われています。

サプリメントとして糖鎖栄養素を補給する事でも良い成果が上がっているため、よりよい妊活を

実践していきたい方にはぜひ、お薦めしたいと思います。

 

 

糖鎖は、間質性肺炎や自己免疫疾患など、一般的には治療が困難と言われている様な疾患に於いても

かなりの治療効果を上げています。目には見えない所での小さな小さな、けれどもとても大きな働き

の糖鎖です。

 

妊活中の皆さまが、ご自身の体調をしっかりと整え、風邪などひかれません様、

どうぞ、日々ご自愛ください( ^ω^ )

 

 ☆ 看護師 上川合史子 ☆

ご相談はお気軽に

完全予約制ですので、来院ご希望の方は、お電話ください。
空いている日にちと時間をご案内いたします。
幅広くご相談に応じておりますので、ぜひお問い合わせください。

  • HPを見たとお伝えいただければスムーズです 03-56363-1481
  • 24時間受け付けております お問い合わせはこちら
03-5363-1481