ADHDは治療しても治らないのか
ADHD(注意欠如多動症/注意欠如多動性障害)は,多動・衝動性・不注意が多く
みられる発達障害のひとつで、小児期の友達関係や学習能力、また、成人以降の仕事
などに支障をきたしてしまい、生きづらさに繋がってしまう、というものです。
ADHDの診断を受けている方、また、診断されていないが、その症状が当てはまる
方には、治療すれば治るのか、気になる所だと思います。
ADHDは、脳の機能が起因しており、治療で完治するというものではありません。
けれども、各々の症状に合わせた治療を行う事で、特異的な症状は目立ちにくく
なり、不安を抱えずに日常生活を送ることは十分可能になります。
ADHDの治療法
ADHDの治療の代表的なものは以下の通りです。
① 環境調整・・・・より集中でき、物事に取り組める生活環境を整える治療法
② 認知行動療法・・・・考え方のクセや行動パターンを見直す事により、精神的
ストレスを軽減したり、問題解決を図るカウンセリング方法。
個人やグループ形式で行う。
●心理教育
ADHDの症状や対処法について学び、自己理解を深める学習
●自己報酬マネジメント
行った行動に動機づけをしたり、ご褒美を与え、自身のやる気を
出すための行動学習
●スケジュール管理
スケジュールを管理したり、やるべき事を期限内に行う習得のトレーニング
●注意持続訓練
やるべき事に注意が向き、持続させる練習
●整理整頓
書類や貴重品など、必要なものの管理方法や整理法の学習
●感情コントロール
怒りに対するアンガーコントロールや感情の扱い方、心理教育などの学習。
③ SST(ソーシャルスキルトレーニング)・・・・周囲とどのような人間関係を築いて
いくのか、どのように話したり対応
すればよいかを具体的に学ぶ
④ ペアレント・トレーニング・・・・親が子に対して適切な対応をとることにより、
子どもの生活しやすい行動が強化され、問題とな
る行動を減らしていくことを目標としたプログラム。
⑤ 薬物療法・・・・ADHDの原因の一つに、脳内の神経伝達物質がスムーズに働いてない
事が考えられています。現在、日本では、ADHDの治療薬として、神経
伝達物質の伝達を助けるドーパミン(メチルフェニデート徐放剤)と
ノルアドレナリン(アトモキセチン)があります。神経伝達物質のはた
らきを活性化し、また、情報を受け取る後シナプスから情報が漏洩する
のを阻害する事で、脳内の情報伝達を増やし、症状を改善する目的で
処方されます。
基本的には環境調整や認知行動療法からスタートし、その上で、必要があれば症状の
改善や安定化を図るために薬物療法を併用するのが理想的ですが、日本では、心療内科
や精神科に受診した段階で薬剤を処方される事がほとんどです。
さらに、大人のADHDは、子どものADHDに比べて、認知され始めたのもここ20年
程であり、認知行動療法や環境調整を行う医療機関や携わる人員育成も普及しておらす、
薬物中心の治療が先行しているのが現実です。
世界の治療ガイドライン
海外でのADHDの治療法も、日本と同様にカウンセリング等の心理的
アプローチと薬物療法が主流です。
2019年の現時点で、
NICE(英国)/CADDRA(カナダ)/BAP(英国)/DGPPN(ドイツ)の
4つの機関がガイドラインを作成しています。
子どもに対しては、まずは薬物療法よりも家庭や学校などの生活環境を
整える環境調整や心理的、社会的アプローチを優先する事を各国が推奨して
います。大人の場合は、心理的なアプローチが先なのか、薬物療法優先なの
かは、まだ見解が統一されていない様です。心理的、社会的アプローチの方法
としては、心理教育や認知行動療法が各国のガイドラインでほぼ共通して
勧められています。
診断がつくと・・・
診断を受けた事で、教育や就労支援や仕事の機会において適切な環境を
整えてもらえたり、サービスを受けられたりするというプラス面もあります。
自分の努力不足だと自分を責めてしまったり、自尊心が下がってしまった方
にとっては、自分の特性を知る事で安心される方もいます。
逆に、診断を受けた事で自分自身にレッテルを貼ってしまったり、
診断が周囲に知られてしまうかもしれない、と心配や不安に繋がって
しまう人もいます。受け止め方もその人各々です。
ADHDは、その症状を自覚して、それを克服するための方法を各々が
身に着けていくことが、本質的な治療といえます。ADHDの薬物治療は、あく
までも患者さんが日常生活を不便なく送るための対症治療にすぎません。
また、長期服用は依存性を高め、副作用を引き起こす恐れがある事を知って
おかなくてはいけません。
ご本人が自分の特性をどう捉えるか、生活の中でどのようなサポートが
必要なのか等、多角的に判断する必要があります。
近年ではスマートフォンや電子手帳などでのスケジュール管理や、時間
管理を行える機能等、実践的に便利に活用できるものも増えてきました。
また、二次障害の治療が必要となる場合があります。不注意優勢タイプは
不安やうつの傾向が多くみられ、多動・衝動・優勢タイプは、好ましくない
行動や何らかの依存が強くなると考えられています。その場合、どこで悪循
環を断ち切るか検討し、二次障害の治療を優先して行う場合もあります。
周囲がADHDの困難に気づき、本人を不当に叱ったり、傷つけたりし
ないようにフォローしていく事がとても大切です。
また、本人の治療だけではなく家族のサポートもとても重要です。子どもの
ADHDの場合は特に、親が周囲との対応に追われて疲れ切っている事も多い
ため、心理的なサポートを行う必要があります。
ナチュラルクリニック代々木での取り組み
ナチュラルクリニック代々木では、ADHD の栄養学的アプローチによる治療を
行っています。初診では、まずPRA毛髪検査を行って、障害の傾向性、脳機能の状態、
精神面におけるストレスの度合い電磁波の影響、栄養素の過不足等を確認します。
毛髪検査は、ご本人の毛髪を20本程度頂くだけの検査ですので、痛みや不安を
伴う事もありません。その上、通常の検査ではわからない未病傾向や精神状態、
栄養素不足の影響等も把握する事が出来ます。ですから、小さなお子様でも
安心して受けて頂く事が出来ます。
毛髪検査の結果から不足している栄養素を確認し、食生活を見直したり、
必要に応じてサプリメントにて栄養の補完を行います。
例えば、ADHDでドーパミンが不足した状態になると、物事を順序立てて行
えない、待つことができない、といった行動が現れやすくなりますが、神経伝達
物質であるアセチルコリンの材料となるKリゾレシチン(リン脂質)を補完
すると、ドーパミンの集積やアルファ波が発生しやすくなり、記憶力や集中力
が向上したり多幸感が現れる等、ストレスを軽減させ、気になる症状を軽減し
ていく事が可能になります。
また、発達障害の方の多くが腸内環境のバランスが崩れており、腸内で発生した
有害物質が血管から侵入し、体内をめぐって脳に届き、多大なダメージを与える
事が知られています。腸内環境に乱れがみられる場合は、食生活の改善とともに
乳酸菌や乳酸菌生産物質などを補完し、整えていく事も非常に重要です。
腸内環境を悪化させる要因に乳製品に含まれるカゼイン(タンパク質)や小麦に
含まれるグルテン(タンパク質)の影響も懸念されます。
カゼインが未消化のまま血中に入り、脳に到達して脳内の受容体と結合する事に
より、「カゾモルフィン」という麻薬様物質に変化する事がわかっています。
また、グルテンは、強い中毒性がある事が問題視されており、慢性的に摂取して
いるとグルテンの中の「グリアシン」という成分に過剰に反応し、腸内環境を悪化
させます。重度になるとセリアック病を発症し、腸からの栄養吸収が妨げられて
しまいます。
毛髪検査によって乳酸菌や腸内常在菌の状態、カゼインやグルテンの不耐傾向
も確認する事が出来ますので、結果次第ではこれらの対策も必要となります。
診断名がついた事で、自身をその枠の中に当てはめて悩んだり、自信を無く
してクリニックに受診される方がいらっしゃいますが、多かれ少なかれ、
誰しも考えのくせや不注意などの傾向はあるものです。ADHDの傾向性は決
してマイナス面ばかりでなく、物事を突き進めていくリーダーシップを
発揮したり、斬新なアイデアを生み出したり、と新しい道を切り開く能力も
十分に秘めているのです。
ですから、診断にとらわれ過ぎる事なく、まずは自身の特性を把握して、必要
に応じた対策を各々専門家と相談しながら実践される事が望ましいでしょう。
私たちもその一端を担っていけたら、と日々治療に携わっていますので、いつ
でもお気軽にナチュラルクリニック代々木までご相談ください。
★ナチュラルクリニック代々木★