グルテンとは、小麦に多く含まれるたんぱく質の一種ですが、粘り気や弾力を与える特長があります。麺類やパンの生地に含まれており、私たちが日常的に食している食べ物の中にごく普通に存在しています。
アメリカではグルテンは強い中毒性があるとして問題視されており、呼吸器障害、胃腸の不調、慢性的なイライラや頭痛、またうつ病に発展する場合もあるとしています。またグルテンは血糖値を急激に上昇させるので、血管を傷つけたり、脂肪をため込みやすい体質に招くなど、様々な症状を誘発させる危険があることが報告されています。
グルテンを慢性的に摂取していると、グルテン中の「グリアジン」という成分に過剰に反応し、腹部の膨張感や消化不良を起こしたり、腸にガスが溜まり、腸の炎症を起こすことがあります。これを「グルテン過敏症」と言いますが、重度の場合には「セリアック病」を発症し、グルテンにより小腸がダメージを受け、栄養が吸収できなくなる深刻な病に発展する恐れがあります。グルテン過敏症は無自覚症状も多く、消化に問題がなくても、肌荒れや慢性的な無気力感、慢性疲労、下痢や便秘、集中力や体力の低下、生理不順、不妊症、喘息、口内炎、関節痛など、様々な症状が起きると言われています。
乳酸菌やオリゴ糖、乳酸菌生産物質、食物繊維などを摂っても、なかなか腸の調子が良くならない場合には、グルテンによる腸の炎症を疑ってみる必要があるかもしれません。
ドイツやスイスでは、焼きたての柔らかい白いパンは「腸でだんごのようにこびりつく」と言われ、体に悪いものとされています。特に市販のパン類を主食にしている方は注意が必要です。トランス脂肪酸たっぷりの植物性油脂、ショートニング、マーガリンや糖類、イーストフードなど危険度の高い食品添加物もふんだんに使われています。
また、現在の小麦粉に使われる品種は、大量生産を目的とし、交配、異種交配、遺伝子移入が重ねられ、小麦に含まれるたんぱく質グルテンの構造が変化し、グルテン過敏症やセリアック病の発症率が多くなっていることが判明しています。
自分の体に不調を感じた時、食生活を見直し、小麦食(サンドイッチや菓子パン、ハンバーガー、ピザ、パスタ、うどん等)を主食としていた場合には、米食(玄米や発芽玄米がお勧め)に変更し、バランスの取れた和定食を基本として食養生とすることをお勧めします。
ナチュラルクリニック代々木 ※クリニックニュース Vol.8 掲載記事