精神安定に必要なセロトニンの前駆体である「トリプトファン」は、「かしこいな」に多く含まれています。かつお、しいたけ、こんぶ、いりこは、まさに日本の「お出汁」。出汁のきいた和食は、先祖代々日本人の精神状態を守ってきたのでしょう。またセロトニンはメラトニンの分泌を促し、体内時計を調整します。
「なんだかよく眠れない」「ぐっすり眠れない」そんな時は、安易に睡眠薬などに頼らずに、まずは食生活を見直してみましょう。
ナチュラルクリニック代々木 ※クリニックニュースVol.3 掲載記事
2024.03.10更新
精神安定に必要なセロトニンの前駆体である「トリプトファン」は、「かしこいな」に多く含まれています。かつお、しいたけ、こんぶ、いりこは、まさに日本の「お出汁」。出汁のきいた和食は、先祖代々日本人の精神状態を守ってきたのでしょう。またセロトニンはメラトニンの分泌を促し、体内時計を調整します。
「なんだかよく眠れない」「ぐっすり眠れない」そんな時は、安易に睡眠薬などに頼らずに、まずは食生活を見直してみましょう。
ナチュラルクリニック代々木 ※クリニックニュースVol.3 掲載記事
2024.02.10更新
「まごは(わ)やさしい」は日本伝統の「和食」のメリットを、栄養学的に凝縮した「健康食材の詰め合わせ」のようなもの。普段の食生活の基本とすることで、栄養のバランスが摂れ、生活習慣病の予防、老化防止、免疫力のアップ、骨を丈夫にする、体調を整えるなど、様々な効果が挙げられます。ナチュラルクリニック代々木では、「まごはやさしい」を食生活の基本とし、主食を白米やパン食から発芽玄米に替えることをお勧めしています。精神疾患で来院される患者さんの多くは、インスタント食品やコンビニ弁当、スナック菓子、菓子パンなどを常食としており、身体(細胞)の基礎作りに必要な栄養素が全く摂取されていない状態です。更に食品添加物や薬剤の服用により、精神的な症状のみでなく、身体の不調を訴えるケースも多く見受けられます。伝統的な日本の食生活を普段の献立に摂り入れることは、食養生の基本でもあり、体調を回復させるために、もっとも重要な療法であることを理解しておきたいものです。
ナチュラルクリニック代々木 ※クリニックニュースVol.3掲載記事
2024.01.10更新
疲労を感じた時に、甘いお菓子を食べて、元気になった経験はありませんか?
なぜ甘いお菓子は、そんなに早く私たちの体を元気にしてくれるのでしょうか?
それは「砂糖は、体内に吸収されるスピードが速い」からです。
砂糖を使ったお菓子を食べると急激に血糖値が上がります。一時的に疲れが取れたように感じますが、体はそれに対処するために急いでインスリンを放出し、血糖値を下げようとします。インスリンを大量に分泌した結果、今度は逆に血糖値が下がりすぎてしまい低血糖となるのです。急に下がりすぎた血糖を正常値まで引き上げるために、アドレナリンというホルモンが分泌されます。アドレナリンは分解されるとアドレノクロムという覚醒剤に似た有害物質となり、これが頭痛を引き起したり、「キレやすい脳」にしてしまうのです。
また、砂糖は体液を酸性に傾けます。それを中和しようとして、体の中でカルシウムをはじめとするミネラルを奪います。しかし砂糖を日常的に摂っていると、体の組織や細胞に貯えられたカルシウムでは足りずに、骨や歯を溶かしてカルシウムを補い、体のバランスを保とうとします。その時、カルシウムの流出で結石ができやすくなる恐れもあります。こうして砂糖を体内から排出させようとして、私たちの体は様々な反応を起こし、負担がかかっていくのです。また、砂糖は消費する時にビタミンB群が必要となります。これが砂糖は別名「ビタミン泥棒」と言われている所以です。イライラやストレスなどで、もともと不足しているビタミンB群を更に消費してしまうのです。砂糖の過剰摂取は、私たちの体の大切な栄養素を消費してしまいます。また砂糖には「習慣性」と「増加欲求性」があります。「習慣性」というのは、砂糖を含んだ物を食べると、次から次へと甘い物が欲しくなることです。「増加欲求性」というのは、甘さに慣れてくると、更に甘みの強い物が欲しくなることです。
では、一日にどの位の摂取を目標にしたら良いでしょうか。
ナチュラルクリニック代々木では、治療目的として、嗜好品の砂糖の摂取量は1日6グラムを基準としています。
例えば、おやつにチョコレートを1/2枚食べてしまったら、4日間(4日×6g=24g)は嗜好品の摂取を控えるように努めたり、ビタミンやミネラルの摂取をいつもより多く摂るように心掛けるなど、調整をする気持ちが大切です。また普段の料理でも白砂糖を控えて、メープルシロップやハチミツ、オリゴ糖、黒砂糖、てんさい糖など、自然に近い調味料を利用しましょう。「甘い物を食べたい」という気持ちと、私たちの身体の細胞が「食べたい物」とは違うということ…細胞が喜ぶ食生活を心掛けることが、健康を維持し病気を遠ざける秘訣となるでしょう。
ナチュラルクリニック代々木 ※クリニックニュースVol.2掲載記事
2023.12.25更新
ナチュラルクリニック代々木 年末年始休暇のお知らせです。
2023年12月29日(金)から2024年1月4日(木)まで年末年始休暇とさせていただきます。
皆様にはご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。
サプリメントのご注文は、2022年12月28日(木)12時までにお願い致します。
12時以降のご注文は、2024年1月5日(金)の配送手続きとなります。
2023.02.10更新
私たちの体は何十兆個もの細胞でできていますが、全てに細胞膜が存在しています。細胞膜は細胞の内部環境を一定に保つために代謝機能を司る重要な役割を担っています。この細胞膜の構造は、脂質二重層という構造を作っています。細胞膜を構成するリン脂質分子(=レシチン)は頭部と尾部がありますが、頭部は水になじむ親水性、尾部は水をはじく疎水性の特長があり、細胞内外の均衡を保っています。
※細胞の内外は主に水で満たされているため、リン脂質分子は頭部を外側に、水に反発する尾部を内側に二重層を作って並ぶ。二重層の両外側は親水性なので、膜全体は細胞内外の環境になじみ、内側には疎水性の脂肪酸が充満しているので細胞の内外をしっかり遮断することができる。
リン脂質分子には種類があり、細胞の外側の膜、内側の膜で構成される分子が違います。
ホスファチジルコリン(PC)…主に細胞の外側の膜を構成する。
ホスファチジルエタノールアミン(PE)…細胞の内側の膜を構成する。
ホスファチジルイノシトール(PI)… 〃
ホスファチジルセリン(PS)… 〃
レシチン(=リン脂質)を細胞膜の構成栄養素として摂取するためには、PC、PE、PI、PSのバランスが重要です。レシチン=PCと言われているように、卵黄レシチンは極端にPCのみが多い栄養素です。大豆レシチンは比較的リン脂質のバランスが良いとされていますが、そのバランスも完璧ではなく、中でもホスファチジルセリン(PS)は含有率が少ないので、細胞膜強化栄養療法として確立させるためには、PSを大豆レシチンに添加することが、実はとても重要なのです。
レシチンが不足して細胞膜の機能が衰えると、ウイルスや細菌から身を守る働きが衰え、外敵の攻撃を受けやすくなります。また酸素や栄養、老廃物などの細胞内外への受け渡しもスムーズに行われなくなり、細胞が衰え傷つき、様々な症状が発生します。バランスの良いレシチンの補完は、他の栄養素の吸収を助けるためにも、まず先に行う必要がある重要な栄養素です。
2022.08.05更新
キャンセル料についてのお知らせ
いつもナチュラルクリニック代々木をご利用いただき、ありがとうございます。当院をご利用いただいております皆様に大切なお知らせがございます。
最近ではご予約も混雑をしており、患者様から「予約が取りづらい」とお声をいただくことも多く、ご迷惑をお掛けしております。
また、当日のキャンセルも目立つようになり、その日に診察を希望されていた患者さまにもご利用いただけない状況が散見されるようになりました。
多くの患者さまに当院を平等にご利用いただくために、大変恐縮ではございますが、キャンセル料の取り扱いをさせていただくことになりました。
キャンセル料の詳細は以下になります。
当日キャンセル又は予約の変更 :3300円(税込)
当日の無断キャンセル :5500円(税込)
予約の変更やキャンセルは、診療日の3日前までにご連絡頂けますと、キャンセル料は発生致しません。
(留守番電話での受付は行っておりません)
何卒、ご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2021.06.27更新
新型コロナウイルス対策の一環として、ステイホーム、リモートワークが推奨され、自宅で過ごす時間が多くなりました。
自宅での時間が多くなると、つい飲酒量が増えていませんか?今回はアルコールについて考えてみたいと思います。
~ アルコール代謝の仕組み ~
口から入ったアルコール(エタノール)は胃から約20%、残りの大半を小腸から吸収し、約90%が肝臓で代謝されます。肝臓で、殆どのアルコールはアルコール脱水素酵素(ADH)によりアセトアルデヒドに分解されます。
アセドトアルデヒドとはお酒を飲んだ時に顔が赤くなったり、頭痛、吐き気の原因となる物質です。
また、一部は非アルコール脱水素酵素系であるミクロソーム-エタノール酸化系(MEOS)により代謝され、アルデヒドになります。
アセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)により身体に無害な酢酸アセテートに分解され、その後、TCA回路を経て筋肉・脂肪組織などで水と二酸化炭素に分解され体外に排出されます。
MEOS系の代謝にはビタミンB1、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の代謝にはビタミンB3が関与します。
そのためアルコール代謝にはビタミンB1・B3が多く必要となります。
しかし、摂取されたアルコールの2-10%は、代謝されないまま血液中を循環し、肺から呼気、腎臓から尿、皮膚から汗として体外に排泄されます。
血液中のアルコールが脳に到達すると、神経細胞に働き「お酒に酔う」状態となります。
酔いの状態はアルコール血中濃度によって6段階に分けられます。
楽しくお酒を飲めるのは「ほろ酔い期」のアルコール血中濃度が0.1%程度までです。
理性を司る大脳皮質の活動が低下し、抑えられていた本能や感情を司る大脳辺縁系が活発になり、開放感を感じたり陽気になるのです。
しかし、アルコールの量が増えるのにしたがって酔いが進み、脳の麻痺も進みます。
「酩酊(めいてい)初期」「酩酊期」になると知覚や運動能力が鈍り、繰り返し同じ話をしたり千鳥足になったりします。
さらに飲酒が進み、「昏睡期」になると、麻痺は脳全体に及び、呼吸困難に陥り、最悪の場合には死に至る危険性もあります。
~ アルコール代謝 (酔いが覚める) ~
摂取したアルコール・お酒が身体から抜けるには、どのくらいの時間が掛かるのでしょうか?
アルコールの分解には体質により異なりますが、一般的に体重1kgあたり、1時間で0.1gのアルコールを分解するとされています。
また、身体の大きい人は血液量が多く、肝臓自体も大きいため、小柄な人よりもアルコールの分解が速くなると言われています。
更に、筋肉量も代謝に関係しています。
肝臓にて酢酸に分解されたアルコールは、血液により筋肉に運ばれ、二酸化炭素と水に分解されます。つまり、筋肉量が多い人は酢酸の処理能力が高いことになり、アルコールの代謝能力も高くなります。
女性よりも男性の方が、一般的にお酒が強いのは、少なからずこれらが関係していると言えるでしょう。
アルコールの代謝は、純粋なアルコールの量により計算されます。
アルコール摂取量の基準とされるのは、お酒の単位です。
1単位とは、純アルコールに換算して20g。
この1単位を各種アルコール飲料に換算すると、ビール(アルコール5度)は中びん1本(500ml)、日本酒(アルコール15度)は1合(180ml)、ウイスキー(アルコール43度)ダブル1杯(60ml)、焼酎(アルコール25度)0.6合(110ml)が目安となります。
お酒の1単位(純アルコールにして 20g)
~ アルコール依存 ~
自宅で気軽にアルコールを摂取するようになると、心配されるのが「アルコール依存」です。
最初はアルコールの摂取によりストレス発散や気分転換、気分の高揚感を楽しんでいても、摂取量や日数が徐々に増加し、アルコール依存症となる方が増えています。
「少しのアルコールは健康に良い!」とも言われていますが、例えばワインには抗酸化物質であるレスベラトロールが含まれていますし、ビールの苦み成分であるホップは昔から薬用ハーブとして知られており、リラックス効果や抗ストレス作用があるとされています。
しかしこれらは、アルコール単位1以下(ワイン‥180㎖ ビール‥500㎖ 以下)の摂取量に対して言われているものです。
飲む量や日数など、計画的に自制出来る範囲で楽しむことが大切です。
{出所}KAST(新久里浜式アルコール症スクリーニング検査)
【 男性 】
合計点数が4点以上‥アルコール依存症の疑い群
合計点数が3~1点‥要注意群
合計点数0点‥正常群
※質問項目1番のみ「いいえ」の場合は正常群
【 女性 】
合計点数が3点以上‥アルコール依存症の疑い群
合計点数が2~1点‥要注意群
合計点数0点‥正常群
※質問項目6番のみ「はい」の場合は正常群
~ アルコールとの上手な付き合い方~
お酒は、ストレス発散、リラックス効果、コミュニケーションツールとして私たちの生活に大きく関わっています。
しかし扱い方を間違えると、アルコールは心身へ悪影響を及ぼすものとなってしまいます。
では、アルコールと上手に付き合うにはどうすれば良いのでしょうか?
一番注意したいのは、やはり飲酒量ですが、その他にも重要となるのが、飲酒時の食事です。先に述べたように、アルコール代謝にはビタミンB群をはじめ、ビタミンⅭなど多くの栄養素が必要です。
また栄養素の不足は二日酔いの原因になるほか、代謝に関わる各臓器への負荷も大きくなります。
飲酒時の食事を少し注意することで、上手にアルコールと付き合うことができます。
~ 飲酒時におススメの栄養素~
① ビタミンB1
通常、アルコールの分解には酵素「アルコール脱水素酵素」により行われますが、大量の飲酒により酵素だけでは処理しきれずに、ビタミンB1が使われます。
また、肝臓で分解されたアセトアルデヒドが酢酸から分解される際にもビタミンB1が使用されます。
② レシチン
レシチンは細胞膜と共に肝臓の細胞活性化する働きがあり、肝機能を保護してくれます。
また、レシチンの構成成分であるコリンは、肝臓で行われる脂質代謝に関与し、脂肪代謝を向上させることで、アルコールの摂取などによる脂肪肝の予防に働きます。
③タンパク質
アルコール代謝酵素であるアルコール脱水素酵素などの酵素の活性を高め、肝細胞の再生を促進する栄養素です。
アミノ酸から生成されているタンパク質は、殆どが体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。
④ 有機酸・脂肪酸
お酒を飲む前に、牛乳を飲むと、胃に膜が出来て酔いが軽減されるという話をよく耳にしますが、牛乳は胃酸により凝集され、膜の役割を果たさないことがわかっています。
アルコールの吸収を遅くするには、クエン酸や酢酸などの有機酸や、油脂類が効果的です。
2005年に発表された「The Japanese Society of Physical Fitness and Sport Medicine」では、アルコール吸収速度を遅くするために油脂類や有機酸が働くメカニズムが解説されています。
⑤オルニチン
肝臓の働きを助けるアミノ酸です。
アミノ酸は500種類以上ありますが、オルニチンはタンパク質を構成せず、血液と共に体内をめぐる特別な「遊離アミノ酸」です。
オルニチンは、肝臓の「オルニチンサイクル」というアンモニアを代謝する経路で働き、身体に溜まると有害な物質であるアンモニアの代謝や、解毒を促進します。
オルニチンサイクルのはたらきを活発にすることで、肝臓全体の本来の機能が保たれると考えられます。
オルニチンは肝臓で有害な毒素を無害にする重要な役割を果たしているほか、二日酔い、疲労感の軽減にも効果が期待できます。
⑥ タウリン
タウリンは、生体内で遊離した状態で存在する含硫アミノ酸様化合物の一つで、イカやタコ、貝類、甲殻類及び魚類(心臓・脾臓・血合肉)に多く含まれています。
タウリンはアルコール分解に必要な酵素の働きを助け、分解スピードを上げて肝臓の負担を軽減します。
食事は、胃の中の食べ物が粘膜の上に層を作り、消化器官への負担を和らげます。
さらにアルコールの吸収を遅らせてくれるほか、お酒のペースを抑えることもでき、飲み過ぎを抑えてくれます。
胃腸や肝臓への負担をやわらげるためにも、食べ物と一緒にお酒を楽しみましょう。
また食事と共にサプリメント(健康補助食品)を活用して、不足しやすい栄養素の補完や、肝機能のサポートを行い身体への負担を軽減させましょう。
2021.05.24更新
ナチュラルクリニック代々木には男女、年齢問わず様々な症状の患者さんが来院されます。
その症状はアレルギー症状や消化器官の不調、うつや不安神経症など多岐に渡りますが、
女性の場合、主訴の背景にあるものとして貧血が挙げられます。
これは、近年多くの栄養療法のクリニックでも注視しており、当院に初めて来院される方でも、すでにご存じの方も多くいらっしゃいます。
そもそも、貧血とは?
貧血とは血液中の赤血球に存在するヘモグロビン濃度が低下した状態のことです。
貧血には鉄欠乏性貧血や巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血など様々な種類がありますが、最も多いのが、鉄欠乏性貧血です。
ヘモグロビンは細胞へ酸素を運搬する働きがあるため、不足することにより、酸素不足状態となり様々な症状を招きます。
・だるさ
・倦怠感
・動悸
・めまい
・頭痛 など
では、血液検査での貧血の診断基準を見てみましょう。
診断基準は、採血の検査会社によって異なりますが、下記数値より低値の場合、鉄欠乏性貧血と診断されます。
結果が上記にあてはまっていれば安心!と思われるかもしれませんが、そこには注意が必要です。
鉄は体内に3~4gが存在しますが、そのうち、赤血球には70%に存在します。残りは筋肉中のミオグロビンに存在していたり、肝臓や腎臓のフェリチンやヘモジデリンなどのタンパク質に含まれて貯蔵されている他、エネルギーの産生や代謝、神経伝達物質の合成に関わる補酵素などに関与します。
体内で鉄が不足すると、まずは貯蔵されている鉄が不足します。すると、血液中に流れている鉄(血清鉄)の量が減り、最終的にはヘモグロビンの合成がされなくなり、貧血と診断されます。そのため、一般的な血液検査でヘモグロビン濃度などを調べ、貧血と診断されるときは、体内の鉄量はかなり減少しています。
しかし、上記にあるように、鉄はヘモグロビンの生成だけでなく、エネルギーの産生や神経伝達物質の合成に関わるサポートをするため、
鉄不足が続くと、慢性的な疲労感や気持ちの落ち込み、パニック等の症状を招きやすくなると考えれらます。
貯蔵されている鉄の量は、血清フェリチン値に相関していると考えられるため、当院では必要に応じて採血を行います。
フェリチン値が低値であり、鉄欠乏性貧血が診られる場合は、食事指導と併せ、サプリメントを処方します。しかし、このように気を付けても、月経による出血、腸内環境や胃の不調によっては鉄が吸収されにくく、中々数値が改善されないことも多くあるため、鉄だけを摂取するのではなく、その他の身体の状態を調べることが大切です。
また、鉄の種類としては、非ヘム鉄、ヘム鉄の両方があり、吸収率などには差があります。
詳しくは現代人の鉄不足 をご覧ください。
症状が気になる方は、一度ご相談ください。
2021.03.13更新
現代人が抱えるストレスは様々です。勉強や仕事、育児や介護、煩雑な家事、
ぎくしゃくした人間関係・・・さらには通信環境の劇的な変化で,毎日受け取る情報量も
膨大になっています。現代人の一日の情報量は、江戸時代の人の一生分になるという
データもあるそうで、古代から人間の身体は変化していないにもかかわらず、
私たちは日常の中で多くのストレスにさらされています。
不安神経症やうつ病などのメンタルな疾患も増え続けており,自分は大丈夫,と
思っていた人が、気づかないうちに深刻な症状を抱えてしまうことも多くなっています。
こうしたストレスケアとして、ここ数年、GABAが注目されるようになり、GABAが含まれ
た特定保健用食品やサプリメントが増えてきましたが,GABAを摂るとどのような効果
があるのでしょうか。
◆そもそもGABAってどんな栄養素なの?
GABAとは、γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)の略語です。
私たちの体内に普段から存在しているアミノ酸のひとつで、様々な動物や植物
にも含まれています。
GABAは、特に脳や脊髄で精神を安定させる抑制性の神経伝達物質で、交感神経の働きを
抑制して、興奮した神経を落ち着かせたり、ストレスを緩和したり、睡眠の質を整えたり
する効果があり、いわば車のブレーキの様な働きを担っています。抑制性の神経伝達物質
は、脳の神経細胞の約30%を占めており、脳内の血流を活発にし、酸素供給量を増やした
り、脳細胞の代謝機能を高めてくれます。
抑制性に対して、アクセルの働きをするのが興奮性の神経伝達物質です。主として
ドーパミンやアドレナリン、グルタミン酸などですが、実は、GABAは、脳内で興奮性
のグルタミン酸から作られています。
抑制性の伝達物質が興奮系伝達物質から作られることで、神経伝達は両方のバラ
ンスをうまく保つように機能しているのです。
GABAはもともと体内で十分な量が作られているのですが、疲労や強いストレス
にさらされると、それを緩和するために大量に消耗してしまうため、不足傾向に
陥ります。GABAが不足すると興奮性の神経伝達物質が過剰に分泌されること
になり、リラックスできなくなって緊張状態が続いてしまうのです。
◆GABAってどんな効果があるの?
★ストレスを軽減する
GABAを摂ると、副交感神経の働きが活発になり、α波が増加して精神的な緊張を
和らげる働きがあります。また、脳への酸素供給量を増やして、ストレスに
よる脳細胞のダメージも抑えてくれます。
また、人は強いストレスを受けると免疫力が低下しますが、GABAを摂ると、スト
レス下での免疫力の低下を抑えることがわかってきています。
さらに、学習や作業の効率を高めることも確認されています。
★血圧の上昇を抑える
GABAの血圧抑制効果については、多数の研究で公示されています。GABAは、
脳内に直接入ることができませんが、血管を通じて末梢臓器の神経伝達を抑制
して、血管収縮を緩めると考えられています。
また、GABAは、腎臓の働きを活発にして、血液中の塩分をろ過し,利尿作用を
促して血圧を下げる効果もあります。
GABAはトクホ(特定保健用食品)にも使われていますが、今の段階では、血圧が
高めの人への効果、として扱われています。
医薬品にもGABAを含むものがありますが、頭部外傷の後遺症での処方となっています。
★睡眠の質を整える
GABAを夜間帯に摂ると、自然に入眠出来たり、入眠までの時間が短くなったり
する効果があるといわれています。不安やストレスなどが多く、交感神経が優位に
なって、グルタミン酸が大量に分泌されるようになると、脳の興奮状態が持続して
眠れなくなってしまいます。GABAはこうした脳の興奮を抑えて、気持ち
を落ち着け、リラックスを促してくれるのです。また、血液中の成長ホル
モン濃度が上がり、睡眠の質自体も整いやすくなるという研究報告もあります。
★中性脂肪を低らす
GABAは、エネルギーの消費を高め、内臓の代謝を上げる働きがあります。
また、血液中の中性脂肪やコレステロールに働きかけ、脂質代謝を促すことが
分かってきました。GABA により、肝臓のたん白合成が促進され、エネルギー源
として体内の脂質が消耗されるのではないかと考えられています。また、GABA
とたん白質 を一緒に摂ると、代謝がさらに高まるとも言われています。
◆GABAを摂っても効果がないという意見も...
ストレスや血圧、不眠などの対策として研究されているGABAですが、食品やサプリ
メントで摂っても効果はないのでは?という意見もあります。
GABAを摂ると、まず最初に腸から吸収され、血中に取り込まれます。
しかし、血中に取り込まれても、血液と脳の間で関所の様な働きをしている血液脳関門を
通過出来ず、脳に取り込むことが出来ません。そのため、GABAを摂っても、神経伝達
物質として脳で使われないので意味がない、という考えです。
これについては、実は、腸には脳と同様にGABAの受容体がある、という説があります。
脳腸相関の働きで脳と腸をつなげる迷走神経を経由し刺激が腸から脳に伝わり、GABA
の産生能力が高まる可能性があるそうです。
マウスの実験では、腸と脳を繋ぐ神経を切断すると、脳内のGABA受容体の活性化が見ら
れなかった、という報告もあるそうなので、腸から脳への伝達が切れると、脳内のGABA
の産生能力は上がらないのかもしれません。
腸内環境については、うつ病など、メンタルとの関連も指摘されており、まだまだ
研究途上の段階ですが、外から摂り入れたGABAが腸を介して体内で効果的に働く
可能性は十分にありそうです。実際に治療としてGABAをサプリメントで患者さんに
摂取して頂くと、睡眠の質がよくなったり、ソワソワ感が落ち着いたり…と、改善効果を
体感する方が多くいらっしゃいます。
◆体内のGABAを増やすには?
★GABAの多い食品を摂る
まずは食事の中からGABAをしっかり摂ることが大切です。GABAを多く含む食品は、
野菜(トマト、なす、ケール、かぼちゃ、パプリカ等)、果物(メロン、バナナ等)、発酵食品
(納豆、漬物)、発芽玄米、茶葉などがあります。
★たん白質やビタミンB6を含む食品を摂る
ビタミンB6の多い食品を摂ると、体内でのGABAの合成を促してくれます。
ビタミンB6は、にんにく、魚(鮭、あじ、さんま・かつお等)、ひれ肉、ササミ等に多く
含まれています。また、たん白質をしっかり摂ることで、ビタミンB6の必要量も
増加し、代謝がさらに高まります。
★睡眠をしっかりとる
GABAは、睡眠中に体内で合成されます。睡眠時間が短かったり乱れていたり、睡眠の
質が下がっていると、体内で合成されるGABAが少なくなり、さらに不眠を助長して
しまいます。
GABAは、興奮性ホルモンの放出を抑制し,副交感神経の働きを活発にするので、神経が
興奮して寝つけない場合は、その興奮をしずめて入眠が促されます。また、入眠後も
スムーズにノンレム睡眠へと促してくれるといわれています。
★腸内環境を整える
先述の通り、腸内のGABA受容体をきちんと働かせることは、体内でGABAをしっかり
と活用していく上でとても大切です。そのためには、安定した消化力と腸内
の菌叢群がバランスよく働ける腸内環境を日頃から作っておくことが重要です。
消化力が弱かったり、腸に炎症がある方は、まず腸内環境を整えることが最優先課題と
いえそうです。腸が元気な方は、日頃から発酵食品や食物繊維の多い食品、自分に合った
乳酸菌や乳酸菌生産物質を摂る様に心がけましょう。
◆GABAをどのくらい摂ればいいの?
人は、普段から体内でGABAを作っていますが、疲労や不眠、ストレスや年齢等の要因で
蓄えているGABAの量が消耗し、減ってしまいます。
また、もともとの体質や気質によっても大きく左右されます。
一般的には1日50〜100㎎程度が目安量と言われていますが、実際の治療の現場では、
不足の状況にはかなり個人差があり、食事内容や生活環境、ストレスの
かかり具合によってGABAの必要量にも違いがあると感じています。それに合わせて
GABAを食事やサプリメントで補完する量も人それぞれかなり異なります。
ナチュラルクリニック代々木では、受診された患者さんには体調全般の確認を行う
中でGABAが不足していないかも診ていきます。問診を行い、生活環境や食事の内容
を具体的に伺います。
また、PRA毛髪検査を行い、GABAを含めた栄養素全般を調べます。
GABAの働きに関連する腸内環境や自律神経の乱れ具合、不眠傾向やストレスの傾向
性等も併せて検査しますので、GABAの不足がどうして起こっているのか探りながら、
根本的な体質改善の治療を行っていきます。また、特に体調面に問題があるわけでは
ないけれど、私はGABAが足りているのかな…と気になっていらっしゃる方でも、健診
目的でPRA毛髪検査のみを受けることができます。郵送でのお申し込みも可能ですの
で、お気軽にクリニックまでお問合せ下さい。
最近ではGABAが配合されたチョコレートやお菓子、コーヒー等も増えており、以前より
もGABAを手軽に摂ることが出来る様になってきました。ただし、GABAが絶対的に不足
している方には、このような食品だけでは十分に補いきれないことが多く、また、体調不良
など、心身のバランスが崩れている場合は、GABAだけでなく、他の栄養素も不足している
ことが多いので、身体の根本的な見直しが必要になります。
なにかとストレスが多い毎日ですが、GABAを意識して摂ってみましょう。
たとえば、食事の主食を白米から発芽玄米におきかえるだけでもGABA の摂取量はぐんと
増えます。また、疲れがたまっている時などは、睡眠時間をしっかりとる様に心がけま
しょう。少し意識を変えるだけでも、GABAの消耗を減らし、ストレスや疲労を緩和する
ことが出来ると思います。
2021.02.06更新
2月になり、梅も咲きはじめ、春めいてきましたね。
東京都はまだ緊急事態宣言下ではありますが、やはり春が近づくと嬉しいものですね。
さて、今回はコロナ禍の「メンタルヘルス=こころの健康」についてお話したいと思います。新型コロナウイルスが国内で感染で確認されてから、早1年が経ちました。
去年の春頃は、皆さんがまだこの原因不明なウイルスに対してどのように対応すれば良いか分からず、緊張状態にあったかと思います。それは今でも変わらないですが、この状況が長引くことで、最近では「気持ちの落ち込みが続く」「よる眠れない」「なんとなくやる気がでない」というご相談が増えています。
当院では、抗不安薬や向精神薬を内服している方が多く来院されます。
また、まだ病院にかかった事はなく、可能であれば薬を内服する前に食事の改善やサプリメントの摂取で栄養を補い体をケアしたいという方も多くいらっしゃいます。
このような方は、早めに体質改善を試みることで、内服をしている方と比べると根本的な改善が早い傾向であるため、患者さまの体にも負担が少ないように感じます。
最近少し気持ちが落ち込みがち...と言う方は、一度ご自身の食生活を見直すことも大切です。
「何を見直せば良いの?」と言う方は、下記、基本のポイントについてチェックしてくださいね。
ー食事編ー
まずは三食食べてみよう!
食欲があるにも関わらず、欠食していた場合はまず三食食べてみましょう。
特に朝ごはんを抜く方が多いですが、簡単に卵かけご飯や納豆ご飯にプラスして野菜のお味噌汁がおすすめです。
パンやシリアル等が多い方は、茹で卵などをプラスすると良いでしょう。
朝から固形物が苦手な方は味噌汁やおかゆ、ヨーグルト(カゼイン不耐の場合は控えた方が良い)なども◎
麺類や丼ぶりものなどの単品が多い場合は、定食型を選ぶようにしよう!
これらの食材は、炭水化物が多くなり、栄養バランスが偏ります。
おかずや野菜と共に摂取することで、自然とビタミンやミネラルが摂取でき、栄養バランスが整います。
どうしても偏りがちになるときは、1~2品ほどの副菜をプラスされると良いでしょう。
間食はナッツやビターチョコなどを選ぼう!
間食で甘い物を食べると血糖値の乱高下を招き、ホルモンバランスの乱れから心身の不調を招く要因となります。
何気なく手にしていた甘いお菓子から、食物繊維やミネラル、良質な脂質の多いナッツ(ノンオイル・ノンソルトが◎)やポリフェノール の豊富なビターチョコに変えてみてはいかがでしょうか。
ここに書いた項目は食生活の一例であり、その他にも睡眠やリラックス方法なども大きく関わりますが、ちょっとした食習慣が、うつ病や不安神経症の予防やより良いメンタルヘルスに繋がります。
来院するほどではないけれども、「自分の栄養状態はどうなんだろう?」「まずはセルフケアをしたい」と思われる方は、来院せずに郵送でもPRA毛髪検査 を受けることが可能です。
検査の結果を見て、「より詳しく知りたい」「相談したい」という場合は、その後の受診や電話カウンセリングも可能です。
早めのケアが大切になりますので、不明な点があればお気軽にお問い合せください